気楽×かわずの小規模な往復書簡

映画好き二人のLINEでの会話をまとめたお手軽なサイトです。完全ネタバレ注意!

第七回 「渇き。」についての書簡禄 その1 ※完全ネタバレ注意

口に出すのも恥ずかしい 「渇き。」≒「観客が見たい物に見える映画」 説

気楽:かわずさん、「渇き。」どうでした?

気楽:というかアレってなんですか!?(※Twitterでのかわずの発言について説明を求めている)

気楽:アレをアレしたいとは?

かわず:@karumano346 そうか原作では加奈子は「アレ」の比喩なのかぁ…すげぇすっきりしてきた。それで中島哲也がそっちのテーマより「アレ」を「アレ」したかったのかな。劇薬エンタテイメントとはよく言ったものだな。「アレ」かぁ…。

かわず:これですね?

気楽:それです!

かわず:加奈子=ドラッグの比喩は原作と相違ないのだろうということがわかったわけですが(※原作者が加奈子について述べていた記事http://getnews.jp/archives/609051

かわず:その比喩を中島哲也は原作にある要素としてそのまま表現してたと思うんだけど

気楽:ふむふむ

かわず:個人的には別にそこを本腰入れてるようにも見えなかったので

かわず:中島哲也はダイレクトな比喩を利用した別のことを表す比喩に意味をズラしたかったのではないのか?

気楽:おお、なんか凄いのきそう

かわず:文中の「劇薬」エンタ〜は「薬を求めまっせ」みたいな話だからという意味で銘打ってるのか…なるほど

かわず:ぐらいの意味ですかね

かわず:現代語訳すると

かわず:いえね

かわず:なんだろう

気楽:もしかして「空っぽ」ですか?

かわず:それも近いです

かわず:この説はすげえ言うのも憚られるような感じのアレなので

かわず:もう一回見て確かめたかったんですが

気楽:大丈夫!僕二回目見てきましたから

かわず:なにが大丈夫だ…笑!

気楽:どんな話題もバッチコイっすよ!!

かわず:なんて言うんだろうなぁ

かわず:すっげー恥ずかしいこと言うと

かわず:この映画は「観客が見たい物に見える映画説」

気楽:おお!

気楽:それは分かる!

かわず:あ、まじで?

気楽:中島哲也は薄っぺらさでこそ人間を描こうとしてるのではないか?

気楽:とか考えたときに、ちょっと思った。

気楽:あと、単純に一回目見たとき自分の見たいものが見えました。

かわず:うーん

薄っぺらい映像の向こう側

かわず:じゃあまず役者の演技から言うと

かわず:何も表現させてもらえてないのね

気楽:えーと、監督得意の薄っぺらい演技を求められて、真の感情などが伝わる仕草はさせてもらえてないと

かわず:そうそう

かわず:結果こちらが勝手に想像するんですよ

気楽:うんうん

かわず:この説に思い至ったのは

かわず:見た時の違和感と

かわず:柳下毅一郎の評を見て思いました

気楽:見てない!シマッタ!

かわず:http://www.targma.jp/yanashita/?p=2768(※柳下毅一郎氏の感想)

かわず:これやね

気楽:中島監督の作品は、所謂人間を描く作品に真っ向から反対する制作法で映画を作っているけれど

気楽:それで人間について考えさせないかといえばそうではない

かわず:そうね

かわず:むしろよく考えるんだよね

かわず:観客は

気楽:そして軽薄さや、ノリというものはそれこそ観客の気分を掴んでないと上滑りする

気楽:なんか、そういう従来の方法とは違うやり方で

気楽:物語、というよりは空気(これも語弊があるか)とかを描いているのだよな

気楽:という感じでしょうか

かわず:なるほどなぁ

かわず:そういう狙いがあるのかもしれんなぁ

かわず:というのも私は技法的なところばかり見ていたので

かわず:その狙いまでは考えてなかった

気楽:けど元はカッチョイイの人だとは思うのです

気楽:技法

かわず:うーん

かわず:方法かな

かわず:監督が「これを意図的にしている!」ってのは気づいてるつもりです…みたいな

気楽:も、もうちょっと下さい

かわず:柳下毅一郎の説の話に戻ると

かわず:この評はそこまで思い至ってないのね

かわず:冒頭に

気楽:ああ、俺は誇りを持って軽薄してんだ、みたいな。

かわず:クリスマス→パーティ→ぶっ殺すみたいなぶつ切りのところから始まるけど

気楽:うん。

かわず:全く関連性のない時間、場所の出来事を繋げているようにみえてこのときはわからなかったものが後になるとわかる

気楽:あれ最初わからんかった…

かわず:柳下評ではだから全く意味がないことやってるってこき下ろしてるんだけど

かわず:でもあれって

気楽:うん。

かわず:クリスマスに若者たちが性的に乱れはっちゃけてます

かわず:役所「ぶっ殺す」

かわず:というリア充爆発しろ的な印象を受けるんですよ

気楽:クリスマスだしね

かわず:そうそう

かわず:たしかに

かわず:これがめちゃくちゃ重要な印象づけなのかというとそうでもなさそうで…

かわず:なんなのアレ?ってなるのは当然なんだけど

かわず:でも全く違う時間、全く違う場所、関連性のない人や台詞

かわず:これらを繋げてある印象を与える

かわず:これなにかわかりますか?

気楽:リア充爆発しろ?

かわず:いえいえ

かわず:映画ですよ

気楽:なるほど

かわず:もっと言うとモンタージュ理論ですしねこれ

かわず:関連のないものが並べられた瞬間に関連のあるものだと思うという

気楽:無意味なカットの繋がりに意味を与えているのだというやつですね

かわず:そうそう

えっちなこと考えた奴がえっち

かわず:そしてこの映画の冒頭に出てくる言葉

気楽:ぶっ殺す!

かわず:そっちちゃう…笑

かわず:イかれてると思う奴の頭がイかれてるみたいな

かわず:ジャン・コクトーの言葉が

気楽:キスキスバンバンに繋がるのかとおもた

かわず:示されるわけだけど

かわず:繋がるかっ…笑!

かわず:あれって「えっちなこと考えた奴がえっち」みたいな意味ですよね

かわず:女の子がバナナを食べてるところをテレビが放映したとしてクレーム入れてる方がどうかしてるんじゃないですか?的な

かわず:つまりやね

気楽:だからもっとバナナ食べる放送をしますみたいな?

かわず:うーん

かわず:この映画が残酷だと思った人がいたとしたら

気楽:ごめん、今のは流してくれていいやつですw

かわず:残酷なこと想像してたのはその人自身ですよ

かわず:みたいな装置なんですよこの映画

気楽:"ある時代が狂って見えるのは、見ている人間が混乱しているからだ"- ジャン・コクトー

気楽:これっすかね

かわず:そうそうそれやね

気楽:うーん。

かわず:えっちなこと考えてる奴がえっちなんやで

かわず:ジャン・コクトー

かわず:ですね

気楽:エッチしてなくても視姦したら一緒なんやで

気楽:キリスト

気楽:関係ないですね

かわず:そうですね…笑

かわず:その証拠というとあれですが

気楽:ほうほう

かわず:役所広司韓国映画ばりにバックで犯そうとするシーンがよく出てきましたが

かわず:あそこが一番イライラしたんですよ

気楽:なんで?

かわず:寄り過ぎだしカット変わり過ぎて見えねぇぞタコ!

かわず:とね

気楽:聞いて良かったw

かわず:はいはい犯してますよ描写ねぇーと

かわず:でもよくよく考えたらカッチャカッチャ切り替わる何が映ってるかわからない映像に

かわず:音声聞こえてくるだけで

かわず:犯そうとしてるなんて確定出来ないですからね

気楽:ハッ!

かわず:マヌケは見つかったようだな

かわず:というわけで

かわず:この映画は少なくともこちらの想像力に多分に依拠した映像装置であることがわかるわけです

気楽:(い、いやけどあれは確かにしてたような…)

かわず:それは、あれです

かわず:気楽くんがえっちなんです(※してます)

気楽:いやん、まいっちんぐ

かわず:それから観客が見たいものを…

かわず:何って言ってたっけ私…

かわず:えっと

かわず:観客の見たいものに見える説やね

気楽:うん

かわず:私が今回テンション上がった所は

かわず:橋本愛役所広司の車に乗り込むところなんですよ

かわず:なぜだと思います?

気楽:ま、まさかかわずさん、橋本愛を…

かわず:そうですね

かわず:あそこだけなぜか

かわず:探偵物の歳の差バディみたいに見えて

かわず:テンション上がったんですね

気楽:ギャフン!

かわず:あ〜

かわず:気楽くんえっちなこと考えてるぅ〜

かわず:とまぁ

気楽:シェー!

気楽:はい。

かわず:古い漫画という点しか共通点ない…笑

かわず:まぁ見えたんです

その2へつづく