第八回 「インターステラー」についての書簡禄 その1 完全ネタバレ注意
君はセンスオブワンダーを感じたか!
気楽: かわずさん、インターステラーどうでした?
気楽: 多分なんですけど、今回はガーディアンズの時のかわずさんの立ち位置の気がするんで。ちょっと聞いてみたいんです。(※ 以前ガーディアンズオブギャラクシーを見た時も意見が割れ、気楽:は肯定派、かわず:は否定派だった。)
かわず:あら
かわず:ピンと来てない方ですか?
気楽: ええ、割と…
かわず:まじか…
かわず:なんでしょうか
かわず:ガーディアンズのときに
かわず:センス・オブ・ワンダーと言われて
かわず:はっ?
かわず:という感じだったんですが
かわず:インターステラーは
かわず:脳が焼きつくような感覚を体感しました
気楽: マジか!
気楽: そこまで!
かわず:なんだこれ!
かわず:俺はこれ知らないぞ!
かわず:聞いてねぇよ!
かわず:訴えてやる!
かわず:となってましたね
気楽: ええと、特にどのへんですか?
かわず:まぁそうなったのは四次元立方体のところですね
かわず:本棚裏という呼ばれ方もされてますが
気楽: あの五次元空間を三次元で表現してみましたな場所ね
かわず:そうそう
気楽: 落っこちた先がエレベーターシャフトみたいになっててなんじゃこりゃとは思いましたね
かわず:TARSが四次元立方体が閉じられるって言ってた気がしてそう呼んでますが
かわず:そうね
かわず:さっきまでゴリゴリのSFだったのに
かわず:なんだこれは
かわず:どこに行くんだ
かわず:というね
気楽: そこからは完全に家族愛の話になって行きますからね。
気楽: 側に立つもの。スタンドは僕だったのかという話に
かわず:そうね
かわず:最後に勝つのは重力のパワーだというのもスティール・ボール・ランかというね
気楽: 親父の形見(?)が誇りに繋がるというのもね
かわず:ふむ
結局アンハサの「愛なのよ!愛!」
かわず:ということは
かわず:家族愛の部分では納得はされてるということですな?
気楽: そこですよ!
かわず:むむ
気楽: 家族愛の話なのはわかってたんですけど、その描き方なんとかしてくれノーランと
かわず:ほう
かわず:というと
気楽: 一番、分かりやすいところだとね
かわず:うん
気楽: マイケルケイン死ぬところですよ
かわず:ダークナイトの執事さんか
かわず:NASAのお偉いさんね
気楽: ノーランはマイケルケインをマジでアルフレッドばりに酷使するきらいがある
気楽: プレステージも気付いたら何故かアルフレッドになっていた
気楽: NASAのお偉いさん、死ぬ直前に秘密を明かすじゃ無いですか
かわず:うん
かわず:根底から覆すようなね
気楽: 実はプランAなんてムリムリ
気楽: 人類なんてみんな死ぬしかないんですよ!どうしようもないんですよ!と
かわず:そうね
かわず:人類移住とか大ウソ!
かわず:ってことだもんね
気楽: うん。けど主人公は地球を救うために宇宙に向かったわけだよね。
かわず:そうだね
気楽: 主人公はその秘密は知らなかった。
気楽: なのに、お偉いさんは、主人公の娘が「父さんは秘密を知ってたの?」と聞いても答えないんですよ
かわず:ボケちゃったんでしょう…笑
かわず:怒れ…怒れ…
気楽: 黙ってるわけじゃなくて詩を朗読するというねw
かわず:(おじいちゃんまた同じこと言ってる…)
かわず:というね
気楽: 人類は死ぬしかない!だから歌うんだよ!!ってあんたはサンボマスターかなんかかと
気楽: そう思うわけですよ!
かわず:私はもうあれは弟のジョナサンということで片付けました
気楽: ほう!
気楽: どういうことですか?
かわず:ノーランが批判されている部分で詩の引用して気取ってるとか
気楽: うんうん
かわず:要らない要素持って来てるのは全てジョナサンなのではないかと思いまして
気楽: クリストファーじゃないと
かわず:そう
かわず:インターステラー見たあとにノーラン今までごめん
かわず:つぶやいたんですが
かわず:俺は橋渡し役だったんだ!
かわず:と自分の使命に気づく主人公こそ本当のロマンを信じている道の探求者なのだと
かわず:深く感銘を受けたもので
気楽: 確かに、いろいろドラマシーンをおかしいやろ!と思ってた僕でさえ
気楽: ラストシーン付近で主人公が橋渡し役になったあと、続く世界という描写には感動してしまいました。
かわず:だよね
かわず:そして、よくよく思い返すとあの詩を胸に秘めてる者は
かわず:主人公の邪魔するやつばっかりなんですよ
気楽: マイケルケインとアンハサと
気楽: あと、誰だっけ?
かわず:マット・デイモン
かわず:博士の詩を聞いたか?
気楽: マン博士!
かわず:って言って来ます
かわず:そう!
かわず:マンの野郎!
気楽: 久しぶりのダメな方のデイモンでしたね
かわず:童貞臭強めでしたね…笑
かわず:アンハサは
気楽: 子持ちなのに!
かわず:マイケルケインの地球からのメッセージ聞くシーンで
かわず:詩を朗読されて、はぁ?って感じに見えたんですが
かわず:アンハサもそうかなぁ?
気楽: 一人でブツブツいってなかったっけ?
かわず:言ってたか
かわず:まぁ結果的に邪魔ばかりしてましたしね
気楽: けど、あの詩って死んでたまっか!怒れ、怒れ!行動しろ!な詩で
気楽: どちらかと言うと肯定的に使われてるんじゃないの?
かわず:本当の意味はね
気楽: うん
かわず:でも本当の意味で死んでたまるかと行動するのは主人公のみに見えるんですよね
かわず:マイケルケインの場合は
かわず:種の存続のためにという行動原理でしたし
かわず:その計画を理解してたマット・デイモンは結局個の存続という行動原理に走るんですよ
かわず:その結果
かわず:個(自分)ではなく現存する人類(家族)を救うためという行動原理とする主人公にとっては二人は邪魔者でしかないんですけどね
気楽: 個でもなく、種という不特定多数の話でもなく、特定個人への愛情こそが人類を救うという
かわず:そうそう
かわず:結局アンハサの愛なのよ!愛!
かわず:なんですよね
気楽: アンハサの意見が実は間違ってなかったってなるしね
かわず:そうなのよ!
かわず:でもね…笑
気楽: 救いのある星は彼新地
かわず:一つ目の星で大ポカやらかした後の
かわず:あの演説は…笑
かわず:このアマ…!
気楽: 誰がついてくか!と
かわず:ってなるのであれは当然の流れですが…笑
かわず:本当に思いましたもの
かわず:このアマ…!って
気楽: 愛演説こみで「おめぇ、イカレチマッタノか?」と思いました
かわず:あれ最高でしたわ
気楽: そうかぁ
この穴を創ったのは誰だ!
かわず:まぁとにかく
かわず:詩とか言ってんじゃねぇよ!
かわず:死ね!ジョナサン!
かわず:という見方に落ち着いてます…笑
気楽: うーむ
気楽: けど、演出はノーランさんなんですよね?
かわず:そうねぇ〜
気楽: マイケルケインの死に方も、アンハサもそうなんですけど
かわず:うん
気楽: 詩とか、愛の理屈が悪いのじゃなくて
気楽: 親子の溝を深めるためだけの沈黙とか、なぜか突然テーマ言い出すとか、単純に演出どうにかならんのかと思えてしまうんですが…
かわず:それを言い出すと…
かわず:本棚裏のシーンが
かわず:アホか…一択になりませんか?
気楽: あそこは、何と無く予想できてたので
かわず:まぁな
気楽: 重力操り描写がよくわからんことの方が気になりました
かわず:スティール・ボール・ランもよくわからんかったからいいでしょうそれは!
気楽: !!
気楽: そういえばそうだ!
気楽: SFと言われるからむしろ気になるのかも
かわず:黄金の回転すげぇ!でいいんですよ!
かわず:あのシーンを科学考証的にどうかとかそんな楽しみ方は求めてないんですよ
かわず:少なくとも私は
かわず:SF好きではないですからね
気楽: ふむ
かわず:だってあれですよ
かわず:本棚裏に関しても
かわず:「かれら」が私たちにわかりやすくこの空間をつくりました
かわず:って言ってるし
かわず:正しさなんか糞食らえですよ
気楽: 「かれら」が全部調整してくれてたんだろう、が
気楽: 主人公が発見されるとか、色んなところで出てきますよね
かわず:そうね
気楽: それこそ、「かれら」への信頼度の証とも言えるんですけど
かわず:うん
気楽: ノーランの未来への希望、信頼度は絶大でしたね。
かわず:そこなんですよね
かわず:この映画の素晴らしさって
気楽: 2001年宇宙の旅のスターチャイルドと同じようで真逆な「かれら」
かわず:そうね
かわず:キューブリックは神も信じてなければ人も信じてないんだろうね
気楽: 人類なんてもう駄目
俺だけ進化するしか無い
みたいなところありますよね
かわず:ニーチェか…と
気楽: 伊達にツァラトゥストラ使ってねぇぜ!
気楽: そういう意味でインターステラーの乗組員が多いのはちゃんと意味がありますよね
かわず:そうだね
かわず:2001年は殺されたんだっけ?
かわず:HALに
気楽: うん。
気楽: 宿直の二人だけ起きてたんでしょ
かわず:そかそか
かわず:やっぱり対照的ですな
かわず:みんな任務中に死んでいきましたからね