第七回 「渇き。」についての書簡禄 その2 ※完全ネタバレ注意
かわずさんの果てしなき、渇き。
かわず:私、映画戯画の方でも度々言ってますけど
気楽:うん
かわず:「探偵はBARにいる」はこうしたら傑作だ!みたいな
かわず:おこがましいことをよく言ってるじゃないですか?
かわず:内容は依頼者が少女で
かわず:探偵とのチグハグコンビで話が進むみたいな
気楽:(ルパンだ、ルパンが出たぞ)
かわず:やっぱり私そういう話に日頃から飢えてるわけじゃないですか?
かわず:渇いちゃってるわけじゃないですか?
かわず:渇望してたわけですよ!
かわず:あのあと橋本愛ちゃんは置いて行かれるからそんな物語はすぐ終了しますが
かわず:ここなんです
かわず:これがこの映画の正体なんです!
かわず:役者の演技ではよく聞く言葉
かわず:足す演技、引く演技
かわず:特に引く演技は情報を増やして行くのではなくてむしろ少なくしてゆく演技ですね
かわず:観客が気持ちを委ねやすいように
気楽:私たちも部にいた頃は引き算覚えろとか言われましたね。
かわず:そうね
かわず:全然わからなかったけどね
気楽:うん…
かわず:それを映像でやってるのではないかと
かわず:この映画は
気楽:表層しか見えないものから何を読み解くのか、それは現実と同じくあなた自身が読み解くしかないのです。
気楽:ということでしょうか
かわず:うむ
かわず:映像の情報量は多めですけど
かわず:役者には足し算させてませんし
かわず:突然探偵バディ物に見えたりするわけです
かわず:長々と語っておりましたが
気楽:ころころ演出も変わるわけですね
かわず:だいたいこんなものでございます
気楽:なるほどなぁ。しっくり来たわ
原作との違い(とーちゃんは辛いよ)
かわず:あぁちなみに
かわず:中島哲也はクスリから何にどうズラしたかったかですが
かわず:この映画自体がクスリ、みたいな
かわず:そんな感じです
かわず:渇いているのは我々の脳内だったのです
気楽:あ、その話なんですけどね
かわず:見たい物に飢えてるんです
かわず:う、うん
かわず:(大論破の予感…)
気楽:原作と加奈子の大きな違いが
気楽:あるんですよ。
かわず:ほう(キターーーッ)
かわず:それ知りたい
気楽:役所広司にレイプされたか否かです
かわず:あぁー
かわず:そうなのか
気楽:果てしなき渇き(原作)は動機や人物設定が映画よりはあるんですよ
かわず:でしょうね
かわず:あんなペラペラでデビューできたら才能あり過ぎですよ
かわず:むむっ?
気楽:原作は結局、加奈子を化け物にしたのは自分だったという話なんですよね
かわず:はぁー
かわず:まぁ
かわず:映画でもそうとも見えましたけどね
気楽:そう?
かわず:いえ明確には…
気楽:映画だと誘ってくるのは加奈子で、既にあの時点で化け物になってる気がしたんだけど
かわず:そういう風にも受け取れるぐらい最低限の骨組みは残ってたような…ぐらいの
かわず:あぁなるほどね
かわず:でもあれ本当に本当の加奈子ですかね?
かわず:あの加奈子は誰の脳内でもない加奈子ですかね?
気楽:加奈子こそが空っぽだからこそ皆を惹きつけるこの映画なんでしょう
(※少し飛躍しているように見えるが、監督の意図によって加奈子をあえて空っぽの人物として設定したことはインタビューなどからも読み取れる。その加奈子をどう読み解くかは様々だろうが、ここではあえて表層しか描かない監督の映画観そのものと読み取ってみた。)
かわず:まぁねぇ
かわず:誘ったように見えたのは役所広司だけかもというね
かわず:あぁ
かわず:原作だとはっきり自覚するんですか?
気楽:それがですね
気楽:主人公は最後まで思い出せないんですよ
気楽:ただ他人にはお前がしたと言われる
かわず:じゃあ
気楽:これは責任の話として読めるんです
気楽:うん
かわず:あのあやふやな描写でもよかったような…
かわず:ほう
気楽:なんていうか、原作読んで二回目みて思ったんですけど
かわず:うん
気楽:最初に私が反応したような部分はどうも原作のほうが強い気がするんですよね
かわず:うんうん
気楽:その残り香に反応してたという感じ
かわず:私は
かわず:全然ピンと来なかった
かわず:話を聞いて
かわず:Twitterのね(※気楽くんが原作を読んで感じたという部分を映画版一回目視聴後に投稿→原作未読のかわずはピンと来なかった)
気楽:えーとね
気楽:じゃあ、原作の方の話で
かわず:うん
気楽:娘の性行為ビデオ見て勃起してしまうシーンとかがあるんですよ
かわず:はぁ
かわず:映画で言うと
気楽:それでも俺は目を離せなかったと
かわず:写真見て「クソが!」
かわず:の所みたいな
かわず:あら
気楽:場面で言うとエピローグで先生に会う直前のところですね
かわず:はぁー
気楽:この辺をただのクズ描写と見るのはあまりにもな気がするんですよね。
気楽:同じく加奈子を麻薬の比喩として見るにしても、それにしてはレイプが重すぎる(※比喩にしては人間的なものを背負い過ぎの意)
かわず:ふむふむ
気楽:この辺って、私が言ってたような、暴力と愛情の関係とかで見た方がしっくりくるんですよ
かわず:そうね
かわず:シザーハンズ理論ですか(※「シザーハンズ」はご存知ティム・バートン監督の同名作の両手がハサミのキャラクター。なのでシザーハンズは愛する女性を抱きしめることもできない。山嵐のジレンマと同意。)
気楽:そうそう
気楽:父親として、守りたいけど傷つけるかもしれない
気楽:そもそも能力がないかもしれない
気楽:俺は男か?クニオくんと
気楽:男らしさ、自意識の問題にまで繋がっていくという
かわず:ふむ
気楽:この辺が見えたんですよね
気楽:特に最近妹のことでよく似たようなこと思うもので
気楽:ただ映画版の役所広司はもっとまともでしたね
かわず:うーん
気楽:最終的にはちゃんと愛に目覚めてましたし。
かわず:そうね
気楽:「ぶっ殺す」も、昭和雷親父のゲンコツと同じものに落ち着いていました
かわず:カカロットは俺がぶっ殺す的な
気楽:そうそう
気楽:ぶっ殺す=アイシテル
かわず:未来日記PartⅡ
かわず:妻の浮気相手の車に突っ込む時とかねぇ
気楽:ギャリック砲五回点滅アイシテルのサイン
かわず:キェェーーーーッ!
気楽:そうそう
かわず:うん…笑
かわず:あれで何とかなると思ったんだよなぁ…
気楽:ゴメン…笑
気楽:結構ハッキリと不器用な人扱いをされてるよね
気楽:ある意味とても役所広司らしい役柄
かわず:暴力でしか語れないんすよねー
気楽:コンドーム持ってウキウキで前の奥さんとこ戻っちゃうしねー
かわず:笑
かわず:全然そういうんじゃねぇからっていうね…笑
気楽:監督もインタビューで、ぶっ殺す、ぶっ殺す言う割りに弱いよねとか言ってたよ
かわず:そういえばげすくんが(※げす…映画に関するトークを配信するPodcast「げすとかわずの映画戯画」のげすくん)
気楽:うん
かわず:主人公の名前が原作のものから昭和に変わった問題言ってたけど
かわず:単純に男の自意識自体もう昭和的な物になってしまったのかなぁと
気楽:なんかその悲鳴みたいな小説だったよ
かわず:そうなのかぁ
露悪でなぜ悪い!
気楽:今ちょっと気になってるのは
かわず:まぁ得する女の人一切出て来なかったしなぁ
かわず:映画も
かわず:うん?
気楽:僕の話がちょっと今言ってる映画のテーマだとちょっと抜け落ちてる気がするんだよね
かわず:ふむ
気楽:どちらかというと、男らしさ問題の方のキャラの気がするから
気楽:ああ、けど中毒患者だからいいのかな
かわず:というと?
気楽:幻想を信じ切っている男として
気楽:それぞれが自分の幻想持ってる話なので
気楽:幻想(世界をどう読み解くか)=相対主義みたいな
気楽:今回は音楽で明確にそれぞれの人物の話を分けてたし。(※登場人物が感じているであろう世界観を音楽で示す演出のこと。その音楽が極端に切り替わるのも全てに平等に価値がない世界観を示してるように見える。)
かわず:そうね
かわず:となると
気楽:うん
かわず:終始笑顔の妻夫木とか終始怒りの橋本愛ちゃんとか
かわず:そういう演技をさせて裏を読み取らせよう読み取らせようとさせていたのは
かわず:テーマとマッチしてたのかな
気楽:うーん
気楽:そのへんがねぇ
気楽:趣味の気が…
かわず:趣味かぁ
気楽:なんかね
気楽:あんなイキイキしてる妻夫木君見てるとね
気楽:絶対監督そういうの好きだからしてるだろと。
気楽:露悪的なの絶対好きだろと
気楽:そこから翻ってテーマ選ぶようになったろう、と
気楽:まあ、いいけどな。となるわけです。
かわず:まぁどちらが先かは明白ですな
気楽:うんw
かわず:「告白」の時は露悪とかっちょいーしかない人だったよね?
気楽:いや、あの映画が変化点だったのかなという気が。
かわず:まぁ「下妻」とかとは明らかにちがうわな
かわず:「告白」の時点で
かわず:まぁ橋本愛ちゃんのゴスファッションをぶち込んできた監督だから信頼してます
気楽:イイね!
おまけ
かわず:「告白」も「渇き。」も橋本愛ちゃんのことしか言ってない気がするな
気楽:だって加奈子可愛くなかったもの
かわず:うーん
かわず:可愛かったけどなぁ…
気楽:そうかぁ
気楽:染谷君に似てる気がするからかな
かわず:目が離れ…
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かわず:[画像]
かわず:バクマンのあずき役に決まったのはワロタ
気楽:エエッ、
気楽:バクマンのあずき役になったのかい。
かわず:うわさによるとね
気楽:男騙しまくりですね
かわず:そうね
気楽:そうか、それができるくらいの美人ということなのか。わかってなかった。
かわず:神木くんと佐藤健が役柄逆だろとか言われてたけど
かわず:神木くんだったら間違いなく渇きのあいつみたいな話になってただろうね
気楽:そうだね。
気楽:ああ、じゃあ俺が加奈子現実感が無いのはイイとして説得力が無いのはどうなの?と思ってたのは私が可愛さに気付いてなかっただけなんですね
かわず:いやぁ〜
気楽:神木くんが巨乳と付き合うわけか…
かわず:!
かわず:可愛さは人それぞれっすな
気楽:神木ハーレムができるわけですね
かわず:なんだそれ?見たいぞ…
かわず:佐藤健ハーレムより見たいぞ
気楽:それを見越してだったのか!
かわず:すごい引き算だ!
気楽:ささ、じゃあこの辺で
かわず:はーい
気楽:今回の話よかった気がするのでやっぱりのっけましょう。
かわず:そうかい
かわず:そうしようか
気楽:久しぶりだしね
気楽:ではでは、おやすみなさい。
かわず:はいはーい