第一回 「クロニクル」についての書簡禄 その2
アンドリューは生真面目すぎる
かわず:でもね、狂ってるって言ったけど、カラッと描かれてる点もダブるんですね
気楽:ほう?
かわず:クロニクルはウェットじゃないですか?
気楽:青木君はそこそこウェットじゃない?
かわず:絶妙のバランスですね
気楽:それにしても青木最強説とか言ってしまったけど何が最強なのだろうか?
かわず:青木度が高いということですね…笑
気楽:なるほど。青木君がイデアだったのか。そりゃ最強だわ
かわず:てかなんの話してんだろ
気楽:クロニクルのウェットさは主人公目線だがらということでいいんでしょうか?
かわず:そうね。青い春は九條目線だし
気楽:アキラも金田目線だね
かわず:しかもアキラの金田目線はそれこそ鉄雄のことなんか結構どうでもいい感が伝わってくるドライさですから
気楽:お前が子分から抜け出すっていうのかよ?というガキ大将の欲望そのまま。一応心配もしてるけど友情かとか言われると違う気はしますね
気楽:最初の事故の話ですけど、あこまではモールスの話のラインで見てましたね
かわず:はぁ。たしかに…「前フリ効いてるぅ!フゥーーーっ!」ぐらいに思ってましたね
気楽:そうだね。「こいつやべぇことするんじゃないのぉー!」みたいな
かわず:そうね。「もしかしてだけどー!」って何回も心の中で思っててもしだいに「もしかしないんじゃないのー?」みたいな
気楽:(笑)やっぱりカミナリ事件が契機ですかね
かわず:うん
気楽:あれで墓の前でちゃんと謝るという
かわず:なんだっけあれ?頂点捕食者?
気楽:頂点捕食者
かわず:云々言い出して、車ひしゃげさす描写、のこれじゃない感。
気楽:頂点捕食者頂点捕食者いうて自己弁明しとりますけども…な感じね。私はあの感じむしろ好きでした
かわず:言い訳感ととれればそれでありなんだけど、あの絵面は誰か目撃者がいてっていうのが好みなので…ひ、ひぇーバケモンだー的な
気楽:客観的に怖いとこに行っちゃってる感じね
かわず:うんうん
気楽:歯のシーンでやった感じだったのかな
かわず:えぇーーー?同級生の歯折る程度なのがなぁ…
気楽:けどあの時が一番やばい感じでしたよ
かわず:まぁねぇ
気楽:だから、あいつ本当はいい奴なんですって。教祖ビテオを自分で撮り出した!というのはそれはそれでいいなぁと思いましたよ
かわず:わかった!もうちょいちがう意味でのどうしょうもない感がないんですよ、アンドリュー。
気楽:ほう!違う意味とは?
かわず:歯折る程度で「見たか…これが頂点捕食者の力だ」とトイレで言うような
気楽:厨二度合が足りんということかい?
かわず:まじめ過ぎるんですよ、あいつ
気楽:エクストリームに楽しませてはくれないね。確かに。けど、あいつがいうからこそ「この先は絶望だ!」にグッと来たよ。同じセリフを青木君が言っても、鉄雄が言っても、イ・ビョンホンが言っても頭はたきたくなりますよね。
かわず:もっと早くチベット行けてたらなぁ…生きてる世界が小さすぎるんですよね
気楽:真面目だから、見えなくなってんだろうな。というのが分かりますから。こっちとしても、そんなこと言うなよと言いたくなります。
話はなぜかパク・チャヌク批判へ…
かわず:非モテ的な悩みがないからってのもあるかなぁ
気楽:それどころじゃない感じでしたね。最初からビデオ撮らずにいられない状態ですから。
かわず:というか、最後の従兄弟はなに言ってんだこいつ?感があってそれも微妙な点ですかね?なんかね。あいつもなにか勘違いしてるのでね。後味わるいというか
気楽:勘違いって従兄弟の?
かわず:うん
気楽:なんだろうなぁ。あのあたりはカメラに対して話しかけるってどういうことだろう。みたいなことを考えてえていたので理解できてないかもしれません。
かわず:あいつも自分に酔ってるんですよ
気楽:空飛ぶシーンをわざわざとるっていうのはこの感覚を理解してくれる人はもうこの世にいないから、撮って共感をえるしかないんだよなぁとか
かわず:ほう
気楽:基本的に自分の中で整理するために話してるんだよなとか。それでもあいつに伝えられなかったことを何かに伝えたいとか。少なくとも、アンドリューが悪い奴じゃないっていうのは知ってるんだ、というのには納得できたのでそこそこに見れました。
太宰治の人間失格ってラストで、「天使のようにいい子でした」とか言わせるじゃないですか。けど、それに当たる部分見てないので、ハァ?ってなるんですよね。
かわず:あぁ、クムジャさんだ
気楽:クムジャさんってそうだっけ?
かわず:あの親切だったクムジャさんがどうして復讐するまでに至ったかが見たかったのに、もう最初から復讐に燃えてて。会う人会う人がクムジャさん親切だったもんね。「協力するわ!」みたいな
気楽:クムジャさんの変化がないのね
かわず:あぁそうそう。正しくは、変化はあったらしいが見せてくれない。
気楽:クムジャさんって復讐に燃えているんだけど、見た目は親切なままなんだっけ?
かわず:うん
気楽:感情はブラックボックスに入ってるのね。第三者目線でだけ撮ってるみたいな
かわず:そうね。んでヨーグルトにイチゴムース垂らしたみたいなさ。純潔が血で染まりまっせな映像何回も挟まれても知りませんやん。みたいな
気楽:ああ、そんなんもしてましたっけ。そりゃ言い逃れできまへんなぁ。およよ!
かわず:!
気楽:どうしたんですか?
かわず:大したおよよではなかったのだね
気楽:ああ、すいません。関西弁言ったあとに付けたくなっただけです。
気楽:それとは関係ないんですが、第三者目線とクロニクルはなかなか面白そうな話の気がしました。一瞬、真逆じゃないかと思ったんですが、「いや、主観のようだけど客観的に撮られた映像だけで構成されてることになってる」と。この辺の融合が上手いと言えるし、それだけでなく映像を撮るってどういうことだろうなと関連づけて考えてみたくもなります。あとこれまでの話とはズレるんですが「監督失格」が酷かったのでそれに比べるとというので評価が甘くなってる気はします。
かわず:なるほど。第三者視点はどこ流れのあれだろう…?
気楽:もしかしてクムジャさんはそういう実験だったのかなと。その後のヨーグルトの話で崩れちゃいましたが
かわず:いやぁ、恨(はん)を描きたかっただけちゃうんかなぁとか思ってたね
気楽:人に親切にすると復讐捗るよ!と
かわず:いえいえ
気楽:イイトコメガネ!
かわず:動機がなんであれ。死ぬまで苦痛味わわせたる的な韓国特有の恨の思想
気楽:クムジャさんだとどう表れてたっけ?見たはずなのに本当に覚えていないな、あの映画。
かわず:親切だったはずのクムジャさんがなぜ復讐をするのかは重要ではなくてチェ・ミンシクをいかにネチネチ復讐するかが重要という。復讐の執行時間が相手1人なのにかなり長かった気がしまそ
気楽:なんか、ただの愉快犯の気も…
かわず:だ・か・ら!
気楽:!?
かわず:あのパク・チャヌクの野郎は!自分の性的な部分をそれに乗せてるだけで!すっげー腹立つんですよ!
気楽:三池さんもそういうとこはあるじゃん
かわず:三池崇史はエンターテインな部分がまだ強いんですよ
気楽:そうね。「そういうとこは」としか書けなかったよ。まあ、サッカーパンチですよ。(※「エンジェルウォーズ」を見るくらいの心持ちで見たほうが良いの意)
かわず:毎回それですぜ?例えたら、エロもあって絵はうまいけど中身はつまらないマンガ。需要はあるけど僕は個人的に求めてないというか
気楽:なんだろう。エアギアの人みたいなイメージよりは、みさくらなんこつかなぁ…そこまでじゃないか。
かわず:そこまでじゃないけど、エアギアとは言いたくない感もわかる
気楽:描写の人だからね
気楽:なんだかんだで渇き面白いシーンいっぱいありましたよ
かわず:面白いシーンはね
気楽:他に何が要りますか?って堂々巡りですねこれ。
かわず:地獄でなぜ悪いの低評価と問題は似てて、私まとまりのある話が好きなんです、たぶん。
気楽:まあ、地獄でなぜ悪いはセルフパロディと映画愛、それも映画とは興奮であるという理屈でごまかしているというところも多少ありますからね
かわず:そうね
以下略